確固たるリーダーシップを発揮できないでいる、最近の日本のリーダー。「このままで日本の将来は大丈夫なのか?」と思う人も少なくないはず。そこで『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でもお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が、「リーダー」そして「権力者」について脳科学的に解説する。
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国や組織にはほとんどの場合、リーダー(権力者)がいます。では、「集団にはどうしてリーダーができるのでしょうか?」。この問題には生物学的に、「闘争説」と「自発形成説」というふたつの説があります。
「闘争説」とは、自分の利益を巡って闘争し、優位になったオスがリーダーになるというもの。「自発形成説」とは、リーダーがいることで社会的な諸問題がうまく解決されるため、リーダーに相応しい個体が自ずと選ばれるというものです。
どちらの説も人間社会のリーダーや、その選び方にかなり通じるところがあります。権力闘争に明け暮れる政治家たちもいれば、能力が高いために自ずと選ばれてしまうリーダーもいます。
ちなみに、動物はリーダーが代わることが普通で、これを「変更的リーダーシップ」と呼び、社会性動物には重要なシステムです。しかも、その変更は「闘争」よりも「民主主義」によることが多いとされています。
いまの日本の権力者たちの姿を見ると、権力の座についた途端に暴言を吐いたり、無理に権力の座にしがみつき続けたりと、あまりに悲しすぎる気がします。
社会のメンバーに利益をもたらさないような権力者は、そもそもリーダーになれないか、仮になったとしても変更されることが、サルを含めた社会性動物の進化的特徴なのです。他のメンバーからの「信用」も進化的に重要とされていますから、生物学的にみて、信用されない権力者はやはりサル以下かも?といわざるをえません。
また、「民主主義による変更可能な権力者」が動物でも進化的にポピュラーだとされているほどですから、権力者を変えようとしない私たち国民もサル以下なのかも…。もっとも、仮に変更しようと思っても、「本来の権力者」的な政治家・権力者が、いまの日本にはほとんど見当たらないというところが、最大の悩みかもしれませんが…。
※女性セブン2011年8月18日号