話題の新刊『「規制」を変えれば電気も足りる』(小学館101新書)を上梓し、お役所が差配する「規制」の裏のウラまで知り尽くす元経産省キャリア官僚の原英史氏(現・政策工房社長)が、法律や政令、省令などの“読み方”を指南する。
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様々な法律などの条文の文末を、気をつけて見ると、「……しなければならない」と「……できる」というものがある。二つには違いがあって前者は「義務付け」、後者は「してもしなくてもいい」という意味になる。
例えば。公立学校の先生には、なかなか懲戒処分が下されることがない。だから校長先生の意向に従わず、君が代斉唱で起立しない教師が出てきたり、指導力不足のダメ教師がはびこったりするわけだが、学校教員などの「職務命令に従わない場合の懲戒処分」の規定は以下のようになっている。
「戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる」(地方公務員法29条)
文末を見ると「……できる規定」になっている。だから、処分するかどうかは処分権者次第。結果、なされない場合が多いわけだ。
傾向としては、一般市民が主語だと「義務付け規定」、行政庁が主語だと「できる規定」が多い。規制には、一般市民に厳しく、行政庁に自由度を与える仕組みが隠されているのだ。