国内

60年安保の運動家 「今でも1300人の仲間と連絡取れる」

『がんばらない』著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、チェルノブイリの医療支援を行ない、その現実を見てきた経験から、被災地福島を支援している。以下は、その鎌田氏による被災地からの報告だ。

* * *
『福島原発暴発阻止行動プロジェクト』――なんだ、これは? と思った。聞けば、60歳以上のおじさん、おばさんたちが福島第一原発事故収拾のお手伝いをしたいと現地支援を申し出たのだという。一時は“老人決死隊”とまで呼ばれたこのグループは、今では一般社団法人『福島原発行動隊』として登録し、7月半ばには現地調査に入り、今後は政府と東京電力の対等なパートナーとして活動を予定している。

早速、僕は発起人で理事長の山田恭暉さん(72歳)に会いに出かけた。山田さんは、3.11のニュースを見て、これは大変なことになったと直感したという。定年前は、住友金属の工場で廃棄物を回収するプラントを作っていた技術者の直感は正しかった。東京大学の学生時代は安保闘争に関わった。

副理事の平井吉夫さんも早稲田大学で闘争に加わった。同じ安保闘争に関係していても、東大と早稲田では学生に対する扱いが違った。東大ではたとえ逮捕されても復学ができ、目指せば教授にもなれたが、早稲田では道が閉ざされたという。平井さんは、長年、編集の仕事につき、現在はドイツ語の翻訳をしている。

「原発のニュースを見て、正直にいうと、これはやばいと思った。年寄りなら多少、放射能を浴びてもいいんじゃないかと簡単に思ってしまいました」と山田さんと平井さんは笑って声を揃える。

二人と僕は約10歳の年の差がある。彼らが関わったのは、60年安保。僕らは70年安保。彼らは、今でも1300人くらいの元仲間と連絡が取れるという。60年安保と70年安保の違いは、団結力。今でも連絡が取れる60年組に対し、僕らの世代はバラバラである。

※週刊ポスト2011年8月19・26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン