テレビ番組の現在のトレンドは『お願いランキング』『シルシルミシル』(ともにテレビ朝日系)に代表される特定の企業を対象にしたタイアップ番組だという。実際、番組表を眺めると企業とタイアップしたクイズ形式の番組が増えている。
コンビニや外食産業の商品をランキング形式で放映。工場などにロケを行なって生産風景を紹介することもある。制作費を抑制して、視聴率獲得も果たしたことで業界内では絶賛された。
元制作会社ADで『AD残酷物語』著者の葉山宏孝氏はこう語る。
「企業側の売り込みも激しく、企業との交渉に当たる番組担当プロデューサー職を作って先方の要求に沿う企画を実現させようとした試みもあるほどです。
ただし、私はスポンサーとのパワーバランスが崩れ、番組のイニシアチブを企業に握られる点を懸念しています。実際、ある番組では、生産工場のロケ終了後に、『今、これをオンエアすると生産が追いつかない』として、放送中止に追い込まれたケースもありました」
テレビ業界では、番組編成には現われない収益モデルにも変化が訪れているようだ。
その一つが放送外収入を増やすことでもある。例えばフジは同局クリエイティブ事業部のなかにアプリ専門チームを立ち上げ、作家やライターなどを集めて企画を練っている。
「そこに顔を出して驚いたのは、以前はバラエティやドラマで活躍していたディレクターなど知った顔が多くいて、番組作りから他で収益をあげようとしていることを実感しました」(フジテレビ局員)
日々変容する「電波の城」――果たして、10年後はいかなる姿をしているだろうか。
※週刊ポスト2011年8月19・26日号