昨今多くの企業がFacebookを使ったキャンペーンを行なっているが、果たしてその成果はどこに見出せばいいのか? 「『いいね』の数が少ないよぉ……」「ファンの数が少ないよぉ……」と嘆く担当者も続出しているのが現状だ。
ソーシャルメディアプランナーの黒沼透氏は、「Facebookで、とにかくファン数を増やしたい時に使える裏技 」というブログのエントリーで、企業のFacebookを利用したキャンペーンは時に「とにかくファン数を増やしたい」という本末転倒な状況にもなっていることを指摘する。
同氏は、ファン数での結果だけを求められているのなら、Facebookユーザー数ランキングでアメリカに次ぐインドネシアの若者に広告を出すだけで、安価でファンを増やすことは可能だという“裏技”を提案しているのだが、そもそも「Facebookページはファン数が全てではありません」「いかにターゲットぴったりな層をファンにして、そのファンと良好なコミュニケーションを築いていけるかこそが重要なのです」と論じている。
「ファン数」のみが成功指標として求められる担当者もいるようだが、Facebookのキャンペーンの指標について、7月29日から10月30日までFacebookで「ロンドンから愛 30 sec. LOVE」キャンペーンを実施しているヴァージン アトランティック航空の担当者は「予約数、搭乗数がどれだけ伸びたかというところが成果指標です」と、うわべだけの数字ではなく、「実利」が重要だと語る。
同キャンペーンは、ヴァージン アトランティック航空の「ロンドンから愛」公式Facebookページにて、ロンドンから愛のメッセージを送りたい人を募集。応募者の中から2名を選考し、ロンドンで愛する人への秘密のメッセージを撮影、収録する。その愛のメッセージがヴァージン アトランティック航空の30秒TVCMとしてオンエアされ、2名の愛のメッセージはサプライズで相手に伝わるというもの。CM撮影の様子や心境、告白の瞬間やペアのロンドン旅行の様子などは随時Facebookページ上でレポートするという。
キャンペーンへの応募は8月23日までであり、8月12日は応募受付開始から終了までのちょうど中間といったところだが、同社の担当者は、「キャンペーン開始2週間で、ファン数が7500を突破し、予想を超える皆様からの『いいね!』をいただいています。応募数も具体的な数字は控えますが、開始2週間で当初予想の3倍を超える方にご応募をいただいております」と手応えを語る。
数の面での成果は上がりつつあるようだが、「ターゲットに合った人がアクセスしているかどうか」という「質」の面ではどうなのか。同キャンペーンが狙う、“若年層やイギリス好きの層”は獲得できているのか。
前出の担当者によると、「恋愛関係では、大切な人へプロポーズをしたい、告白をしたい、という方が多いです。遠距離恋愛の方の応募が多いのが、面白い特長かもしれません。ロンドン旅行または滞在していた方も多いですよ」とのこと。新しいファンの獲得をしながらも、既存のファンからも関心を寄せられているようで、黒沼氏のいう「いかにターゲットぴったりな層をファンにして、そのファンと良好なコミュニケーションを築いていけるか」という点においては、今のところ成功といえるかもしれない。