「オリンピック行けるよ。チャンスあるよ!」
元WBA世界ジュニアフライ級チャンピオンの具志堅用高氏(56)が当サイトの取材に、女子ボクシングでロンドン五輪を目指すしずちゃんについて、こういい切った。
2011年のロンドン五輪から正式種目となる女子ボクシング。強化選手として日本アマチュアボクシング連盟から抜擢された「南海キャンディーズ」のしずちゃんこと山崎静代(32)。ミドル級での出場を目指しているが、日本では対戦相手がいないため、公式戦経験はまだない。「お笑い芸人が通用するのか?」との厳しい声もあり、その実力は未知数だ。
しかし、スパーリングの様子をテレビで見たという具志堅氏は、ボクサーしずちゃんを「体格は恵まれているし、ボクシングスタイルも申し分ない。充分世界に通用するよ」と評価する。その一方で「オリンピックに出場するためには…」と、あえてこう注文もつける。
「スピードがまだ足りないよね。韓国の選手とかは動きが速いから、いまのままだとついていけないよね。大切なのは、動きの中でのスピード。速くパンチを出すこと。強い人はみんなパンチが速いんだよ。そこで差が出てくるわけ。ぼくなんかは動きが速かったから、相手を倒すことができた。しずちゃんはまだ時間はあるし、ジャンプしたり、走ったり、ゲームで早い動きを覚えたり…スピードを身につけるトレーニングしたほうがいいね」
そしてもうひとつ、基本テクニックを徹底マスターすべきだとアドバイスする。
「アマチュアにはアマチュアにとって必要なテクニックというのがあって、それを基本として覚えなきゃいけないわけ。ジャブとストレートとフック、この3つをしっかり身につける。3つで充分だよ。スピードとこの基本をちゃんとマスターすればロンドンオリンピック行けるよ。チャンスあるよ!」
しずちゃんに期待を寄せるのも、日本のボクシング界、そして、日本全体が盛り上がってほしい、との思いがあるから。
「オリンピックに行くことで、ボクシング界全体が盛り上がると思うんだよね。それに、日本を元気にするためにも、オリンピックに行ってほしい。女子サッカーのなでしこジャパンがワールドカップで優勝して、日本がすごく盛り上がってるじゃない。しずちゃんにもちょっちゅ頑張ってほしいね」
しずちゃんは、9月7日から台湾で開かれる国際トーナメントにミドル級日本代表として出場する。
【具志堅用高(ぐしけん・ようこう)】
1955年6月、沖縄県生まれ。元WBA世界ジュニアフライ級王者。デビュー9戦目での世界タイトル獲得は、当時の日本人最短記録。13回連続タイトル防衛記録は、いまだに日本のジム所属の歴代世界チャンピオンの最多防衛記録。現在は、バラエティー番組で活躍。著書『ふかぁ~い具志堅用高のはなし』(ぶんか社)が好評発売中。