かつて男性が穿くパンツといえば、白いブリーフと相場が決まっていたが、オヤジ臭いイメージが定着して売り上げが激減、近年は全盛期の半分程度にまで落ちていた。頼みの綱の子供にまで、汚れが目立つという理由で敬遠され、もはや風前の灯火か……と思いきや今夏、意外にも白ブリーフの売り上げが伸びているというのだ。白ブリーフの定番、B.V.Dの広報担当者が語る。
「節電の影響もあり、見た目だけでも涼やかにしたいと、この夏は白やベージュなど薄い色のスラックスやチノパンが流行しました。しかし、色の濃いトランクスやボクサーパンツだと透けてしまう。そこで、白いブリーフの需要が徐々にではありますが伸びているのです」
とはいえ、白ブリーフの最大のネックは女性に不評なことだ。「格好悪い」という声に気圧された男たちが、好き嫌いとは関係なくトランクスやボクサーパンツに走ったというのが実情である。
しかし、恋愛コラムニストの菊池美佳子氏は、「時代は変わった」と断言する。菊池氏がツイッターやブログで調査した結果、かつては「白ブリーフ男子は絶対イヤ」という女性が圧倒的に多かったが、最近になって、白ブリーフを評価する女性が増え始めているというのだ。
「女性が求める『安定』が変わってきたんです。かつては男性の収入や肩書きが『安定』の目安でしたが、震災以降、男性の収入も肩書きも役に立たないのが分かった。代わりに、何があっても生き抜けるワイルドさや力強さに惹かれる女性が増えているんです」
菊池さんは、白いブリーフこそ、「絶対的な男らしさの象徴」だという。
「シミや汚れが目立ちやすいからこそ、白いブリーフを履きこなすには、清潔さと絶対に汚さないという自信が求められます。逆に白いブリーフの汚れを気にしないというなら、きっとワイルドな魅力を持つ男性に違いありません。私は白ブリーフを穿きこなす男性に、雄々しさを感じます」
白ブリーフブーム到来か。
※週刊ポスト2011年9月16・23日号