『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)でおなじみの脳科学者・澤口俊之氏が、犬を飼うことで得られる癒し効果について語ってくれた。
* * *
犬と人間の関係をモチーフにした本や映画、ドラマが話題になっています。そこで今回は、「ペットを飼う」ということについてお話ししたいと思います。 ヒトに最も近縁なチンパンジーを含めて、ヒト以外の動物がペットを飼う例はほとんどありません。となると、人間がペットを飼うという行動については、何らかの進化的な理由が想定できるはずですが、その進化的な理由も実はよくわかっていません。
ペットとして最もポピュラーなのは、「犬」です。犬は、良きパートナーとして長い間、人類と共にいました。犬の起源はオオカミで、短くとも1万5000年前、研究者によっては4万年ほど前にオオカミから犬に進化し、ヒトによって「家畜化」されたと考えられています。
犬が家畜化されたのは、犬が人の生活にとって役立ったからです。犬には100ほどの種類がありますが、それらは役割ごとに、番犬、狩猟犬、作業犬、牧羊犬、愛玩犬と大きく5つのグループに分けられます。しかし現在、飼い主の多くがペットとしての犬に求めているのは、その「癒し効果」でしょう。愛玩犬は、まさにそのための犬といえます。
そしてもともとは狩猟や牧羊などのために利用された犬たちもまた、人類との長いつきあいの中で、人間を癒すような性質を進化させてきたと考えられます。
例えば、心臓病を患っている患者さんは不安を抱えていたり、血圧が健常範囲から外れていたりします。ところが、犬と10分ほど触れ合うだけで、不安は軽減し、血圧も改善方向に向かいます。認知症にも良いといわれています。犬の癒し効果は他の動物のそれより優れていて、たとえば人同士の触れ合いの2倍もあることがわかっています。
※女性セブン2011年9月29日・10月6日号