華やかで美しく心ときめく、日本を代表する歌劇団、宝塚。しかし、近年はその人気に陰りが差し、空席が目立つようになっており、タカラジェンヌたちもこれまでにない苦労を強いられている。いったい何が起きているのか。
元タカラジェンヌのA子さんは、トップスターや2番手ではないが、所属組での公演では、重要な役が与えられ、ファンも少なくなかった。
宝塚にはこんなタレント契約がある。劇団員は宝塚音楽学校に2年間通った後、歌劇団に入団。最初は阪急電鉄の社員扱いだが、6年目にタレント契約を結び、以後毎年更新されるというもの。
A子さんはその契約の際に、“クビ”をいい渡され、今年退団した。
「私は劇団側からタレントとしての契約をしないといわれ、退団を余儀なくされました。理由は明確にはいってくれません。思い当たるのは、さばけるチケット枚数が少なかったことだけです」(A子さん)
A子さんによれば、明確なノルマはないものの、劇団員が公演のたびに一定枚数のチケットをさばかないといけない暗黙のルールがあるという。もちろん、そんなルールは「プラチナチケット」などという時代には必要なかったことだ。
「宝塚という世界で上に行くためには、容姿や人気だけでなく、チケット販売の実績も重要なんです。劇団側がノルマを直接的に強いることはありませんが、トップだったら1公演最低200枚だとか、2番手3番手は150枚、4番手5番手は100枚というように、実質的なノルマがあるんです」(A子さん)
最も高い席は1万1000円と入場料は決して安くない。
以前は、トップなら黙っていても、自分のファンクラブの人たちがチケットを購入するとともに売ってもくれていたが、いまはそれも難しくなっているという。
トップ以外の劇団員ともなればなおさらだ。A子さんもチケットを売るために必死に努力した。
「ファンの人たちとのお茶会を開いたり、有力な支援者がいれば食事やお酒にもつきあったり。お酒を無理やり飲まされたり、セクハラまがいの行為を受けたりすることもありました」(A子さん)
そうまでしてチケットの販売に励むわけだが、チケットはまず彼女たちが劇団から買い取るため、売れ残った分は自腹で引き取るしかない。チケットを売れないタカラジェンヌにとっては残酷物語とでもいう事態となっているのだ。
※女性セブン2011年9月29日・10月6日号