鉢呂吉雄前経済産業相の「死の町」発言や「放射能つけちゃうぞ」発言はマスコミが大々的に報じるところとなり、結果的に辞任に繋がった。叩くも救うも記者の気分次第というメディアと政治家の関わり合いの例を3つ振り返ってみよう。
●麻生太郎〈漢字が読めないから不適格〉(2008年)
「(麻生首相が)資質を問われ始めたのは就任間もなく、漢字の誤読やらが発覚してからだった」(毎日新聞2010年5月9日付)
麻生氏は首相就任直後から、「未曾有(みぞうゆう)」「踏襲(ふしゅう)」などの漢字誤読で批判を浴び、「高級ホテルのバー通いをしている」など、政治とは無関係な大マスコミによるネガティブキャンペーンに晒された。しかし直前まで、記者たちは「麻生人気」を書きまくり、ホテルのバーにも同行していた。
●漆間巌〈西松事件「自民党に捜査は及ばない」〉(2009年)
麻生内閣の漆間巌・官房副長官は、検察が捜査中の西松建設による政治資金規正法違反事件について、オフレコ懇談の席で「自民党議員へはその捜査は及ばないだろう」との発言を行なった。大新聞は当初これを「政府高官」と報じて情報源を隠していたが、民主党や鈴木宗男氏などが実名暴露すると、あっさり実名報道に転じた。
●中川昭一〈G7での酩酊会見〉(2009年)
麻生内閣の財務相として出席したイタリアG7で、中川昭一氏は会議後の記者会見を酩酊状態で行なったとして、メディアから痛烈に批判され、辞任に追い込まれた。しかし、その後、泥酔会見の直前の食事に読売新聞の女性記者が同席していたことが明らかになった。
※週刊ポスト2011年10月28日号