ベストセラー『がんばらない』の著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、チェルノブイリの子供たちへの医療支援などにも取り組んでいる。その鎌田氏が、福島県の子供たちの甲状腺検査について報告する。
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福島県内には、18歳以下の子どもたちが36万人いる。3・11以来、この36万の子どもたちの母親は、ずっと不安を感じていた。原発事故によりわが子が被ばくしていないかどうか――である。
国や福島県による、子どもの甲状腺の検査計画がいつになってもはっきりしなかった。8月になって、原子力対策本部が3月末に実施した甲状腺被ばく測定の実態が公表され、検査を受けた1100人の子どものうち、45%が被ばくしていることが判明したという。
チェルノブイリでは、被ばく量が100ミリシーベルトを超える地域で、小児甲状腺がんが多発した。小児甲状腺がんは、一般的には100万人に1人の割合で発症する大変珍しい病気だが、チェルノブイリの事故の際は、100ミリシーベルトを超えると1万人に1人にまで発症率が上がった。
それは事故から5年が経って多くなり始め、10年後でピークを迎えた。1991年から2005年の15年間に、18歳以下の小児甲状腺がんが発症した患者は6848人だった。
※週刊ポスト2011年11月11日号