円高が止まらない。10月21日にニューヨーク市場で1ドル=75円78銭になったと思えば、25日には75円73銭、26日のロンドン市場では75円71銭と、さらに高値更新。10月31日には政府・日銀が円売り・ドル買いの為替介入に踏み切ったが、円高の勢いは止まりそうにない。戦後最高値を更新し続ける円高に、これまで関心がなかった人のなかにも外貨預金が気になり始めた人もいるだろう。
利率がいいのは資源国や新興国の通貨建て預金だ。メキシコ・ペソ、南アフリカ・ランドなどがそれ。外貨預金については、購入後に円高が進めば元本割れするリスクがあることなどに注意が必要だが、すでに欧州危機の拡大で一段と円高が進む可能性や、10月初めには資源国商品市場が急落したことで株式市場の下落を指摘する専門家もおり、外貨預金人気がこのまま続くかどうかは不明だ。
そんななか、10月からはじぶん銀行が邦銀では初めてという「中国元建て預金」を開始。ここ10年ほどの間に世界第2位の経済大国に成長した中国元の行方は、業界でも注目されているが、実際のところ中国元は「買い」なのか。『マネーポスト』の鈴木崇司編集長に話を聞いた。
氏によると、世界的な経済成長を遂げている元に投資したい人は潜在的に存在したのだという。しかし中国元預金などをするには中国国内でないと手続きができないなど、今までハードルがすごく高かったため、投資にあまり積極的になれなかった人も多数いたのだとか。
――そもそもニーズはあった、と。外貨預金には不安な点もともなうものですが、数ある外貨預金のなかで、中国元建ての預金にすることのメリットはありますか?
「中国元については政府が為替をコントロールしているため、急落するリスクは少ないとみる向きが強いです。なおかつ、中国元は現在非常に割安。というのも、中国政府は輸出主体で経済を成長させるべく、ドル買い・元売りの為替介入をすることで、元安・ドル高の為替レートを作り出しているからです。
しかし、アメリカは、このことにより中国が儲ける一方でアメリカ国内の雇用が大きな打撃を受けているということから、中国元の切り上げを要求しています」
――ということは、今後はもう中国元は上がるしかない、と。
「どのように上がっていくかはわかりませんが、将来的に元高になる可能性は非常に高いということは言えます。元は米ドルなどとリンクしているため、元がドルに対して切り上がることは、日本円に対しても切り上がるということになります」
――つまり、中国元建ての預金をすれば…
「元高になれば、将来的には儲かるといえそうです。外貨預金には為替リスクが生じるものですが、切り上がっていくことがほぼ確実な人民元なら、為替差益が大きくなります。
しかし同じアジア通貨という連想から元につられて円も高くなる可能性もあり、さらに円高となった場合、為替差益はあまり大きくならないかもしれません」
――でも、少なくとも日本で普通預金よりもマシそうだ、と。
「まあ、どう考えても日本の普通預金を預けていても仕方ないですからね。日本円の資産を持っていることはリスクが高い場合もあることが震災でもわかったという人も多いのではないでしょうか。一定の資産として、外貨に振り分けておくのは一つの考え方ですね」