野田政権になって官僚主導が顕著になりつつある。作家の堺屋太一氏はこうしたやり方では日本が衰退しかねいと危機感を表明している。
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野田政権は官僚主導で国にカネを集め、官僚の権限を強化しようとしている。この社会主義的手法は、旧ソ連と同じ官僚主導で、遠からず日本は衰退する。官僚機構が硬直化・身分化しているからです。
まずは「事業の一体改革」ができないこと。現政権は医療・介護、教育、農業の成長分野に力を入れるという。しかし、それぞれ法人形態が違い、人材も技能も資金も流れない。厚労、文科、農水の各省が囲い込むからです。この縦割りを崩して合理化、一体化しなければ成長は望めません。
たとえば医療分野。多くの病院は経営の素人である医者が経営する。また、優れたITの専門家を雇うこともない。だから病院経営に資本が入らず、医療分野の事業が発展しないのです。
もうひとつの官僚の限界は、消費者の声を聞かないこと。大阪万博の時に知りましたが、ソ連の事務机は大人が4人がかりでないと動かせないほど重い。それは生産ノルマがトン数で計画されるからです。結果、消費者に使い勝手の悪い重い机が作られ続けた。
日本の官僚も同じです。たとえば厚労省が医療政策を立案する場合、医師や医薬品メーカーの意見は聞くが、患者の意見は聞かない。文科省が教育政策を立てるのも、教育委員や教員から話は聞くが、生徒や保護者からは聞かない。
民主主義国家の前提は、国民、消費者の意見を聞くことです。日本の官僚は、業界団体や労組の意見は聞くが、国民の声を聞かない。本来、国民の代表である政治家がその役目を果たすべきなのですが、官僚に尻尾を振り、彼らの権限強化を図る民主党政権に、それは期待できません。
※週刊ポスト2011年11月18日日号