自民党に国有地の「不法占拠」が発覚した。自民党本部は国有地(財務省所有)に建てられ、同党は年間約8970万円という格安の賃料を財務省に支払っている。だが、敷地のうち4分の1にあたる衆議院所有の駐車場部分(1320平方メートル)は47年間にわたってまったく賃料を支払っていない事実が発覚した。
これは、財務省の賃貸契約基準をもとに換算すれば、賃料は年間約3500万円になる。47年間のため、ざっと16億円になる計算だ。支払うこととなれば、さらに年5%の延滞金が加算される。本誌試算では延滞金は47年分で約20億円に上り、賃料を合計して約36億円となる。
本誌は当件について、国有財産の総括権限を持つ安住淳・財務相に見解を問うた。すると理財局国有財産調整課の担当者が「大臣から取材に答えろと指示を受けた」と呼びもしないのに出てきた。そして“大臣代理”はこういうのである。
「直接管理している衆議院に聞いてほしい」
さらに“大臣代理の代理”でお鉢が回された衆議院営繕課PFI推進室室長とのやりとりはこうだ。
――自民党の国有地不法占拠ではないのか。
「お答えすることができません」
――自民党との契約書はあるか。
「書面は保有していない」
――なぜ、無償で貸与したのか。
「申し訳ないが、それはお答えできない」
自民党幹事長室の説明にはもっとのけぞった。
「ご指摘の土地は衆議院の駐車場でわが党とは賃貸関係になく、賃料が発生するようなものではない。(善後策を)理財局と相談した事実もない」
と説明するが、同駐車場は党本部の塀に囲まれ、正門を通らなければ入れない。
そのことを問い詰めると、「車が出入りできる別の専用の門があり、警備上普段閉まっている」だけだというのである。
国有地は「国民共有の財産」だ。自民党が本部内の駐車場をあくまで衆院用と言い張るなら、国会見学など衆院に所用がある国民なら誰でも自由に駐車できる“国営無料駐車場”として開放されていると理解して問題なかろう。
これからわれら国民は、あの一等地の広い駐車場をどしどし使おうではないか。そして、自民党の車が停まっていたら注意して追い出してあげるのが親切というものだ。
※週刊ポスト2011年11月25日号