白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏によると、命を縮めるストレスは、失業者が一番大きいとは限らないという。以下、白澤氏の解説だ。
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今年9月の日本の失業率は4.1%、リーマンショック以来高い失業率が続いている。病院の外来では、失業中の「ストレス食い」が原因で体重のコントロールができなくなったメタボ患者が増えた。
実際、再就職できないと、なかなかメタボを脱却できないのが現状だ。しかし、最近の研究によると、無理して満足度の低い仕事を選ぶと、かえってストレスが増え、短命に終わる可能性が指摘されている。
オーストラリア国立大学のピーター・バターウォース博士らは、同国で2001年から行なわれた全国的な家計収入・労働状況に関する調査をもとに、7155人の回答者を追跡し、仕事の就業状況とメンタルヘルスを調査した。
メンタルヘルスの尺度として、世界で広く使われているSF-36という質問表が用いられた。
SF-36は36の質問によって身体機能や体の痛み、全体的健康感、活力、心の健康など8宇つの事項を測定するもの。0~100点満点で、得点が高いほどメンタルヘルス状態がいいと評価される。
調査の結果、仕事がある人の平均スコアが75.1、失業中の人が68.5、失業しているが仕事を探していない人は69.1だった。興味深いことに、性別、年齢、経済的な困難の状況などを考慮して分析すると「最も割の悪い仕事についている人は、失業している人よりも、スコアが5.6ポイント低く、かえってストレスが強くなっている」ことが判明した。
逆に仕事の質が高いグループは、スコアが平均3.3ポイント高かった。
※週刊ポスト2011年11月25日号