日本シリーズで盛り上がる日本プロ野球界だが、いま、球界一の“人気者”は、日本シリーズを戦う中日の落合博満監督でもソフトバンクの秋山幸二監督でもない。横浜ベイスターズを買収したDeNAの球団GMを打診された前ヤクルト監督の高田繁氏だ。
「しまった、ヤクルトを退団する時にきちんと挨拶しておくんだった!」
「高田GM誕生」のニュースが流れた途端、あるOBはこういって頭を抱えた。
「高田さんはもう66歳だし、まさか現場に戻ることはないと思い込んでいたから……」
実際、高田氏は自身の名前が報じられた途端に、「なんだか急に、親しげに電話してくる人が多くなってねェ」と、周囲に苦笑しながら漏らしているという。
同じ状況は、落合監督の後を継いで中日監督に就任する高木守道氏にも起きている。「OBを積極的に起用します」と宣言したばかりに、落合体制で長い間冷や飯を食っていた中日OBが息を吹き返し、猟官運動が激化しているのだ。
選手でもコーチでも中日一筋で、高木監督ともプレー経験のある重鎮OBは、「二軍でもいいから」と入閣を懇願。同じく中日一筋で、中京圏で解説者を務めていた中堅OBも売り込みをかけており、高木監督も「オレにいわれても困る」と困惑しているという。
両球団に限らず、熾烈な就職活動は手段を選ばず行なわれている。「ユニフォームを着ることになったら、自分の主催するコンペの参加者が急に増えた」とか、「監督だけでなく球団社長などフロントにも手紙攻勢をかけるヤツがいる」など、とにかく必死なのだ。
※週刊ポスト2011年11月25日号