「東日本大震災後、他者とつながり支え合う大切さ、地域社会や身近な環境への意識が、人々の新たな価値基準として根付き始めている」と分析するのは、『SQ』の著者で関西学院大学社会学部准教授・鈴木謙介さん。そんな価値判断の基準が『SQ』。「SQが高い」がこれからのキーワードになりそうだ。
■いまの私たちに必要なライフスキル
今秋発売の一冊の本が話題だ。
『SQ~かかわりの知能指数』(ディスカバー・トゥエンティワン刊/1575円)。帯には「なぜ若者たちはお金より人に役立つ仕事を望むのか?」の問いかけと「新しい幸せのかたち」の文字が躍る。
「利己的な現代社会にあって、タイガーマスク現象やエコロジーなど、世のため人のために行動する人は多い。そんな意欲を整理し、自分に合った社会貢献のあり方を考えてもらうのが目的です」(鈴木さん)。
■地域との密接度が高いとシアワセ
「『SQ』とは、『IQ』(知能指数)や『EQ』(感情指数)に次ぐ社会性指数のことで、特に『身近な人を手助けする力』を数値化し、地域社会とのかかわり度に注目しているのが特徴です。1万人調査でわかったように、震災後、生活者は『地域社会とのかかわり』を重視する傾向にあり、経済成長や雇用創出、グローバル化よりも『思いやる心が大事』と多くの人が回答しています。
つまり、いまの日本人に必要な『SQ』は、グローバル志向でも身内志向でもなく“ローカル”志向。遠い未来や全地球的な社会貢献もいいけれど、自分のできる範囲で無理なく地域社会と協力することが、実は自らの生活満足度につながっている点がポイントです。新たな日本人の『幸福論』ともいえそうです」(鈴木さん)
女性においても例えば、子供の社会性やエコ意識を育成する“キッズ合宿”や“エコトイ”にも注目が集まっている。また、社会との絆やかかわりを求める、といったことから“ママ名刺”や“マンションサークル”の人気が高まるなど、“高SQ女性”が急増しているようだ。
なお『SQ』のサイトでは12問の設問に回答すると、自分の「SQスコア」と「SQタイプ」がわかる診断テストが用意されている。気軽にできるので、試してみるのもおもしろい。
ここでは社会貢献(環境配慮)を表現する代表的なアイテムであるクルマと共に、SQ別ライフスタイルを紹介。6タイプに分けられたカテゴリに、当てはまるものはあるだろうか?
【解剖 SQタイプ別ライフスタイル】
■ガチの正義の味方
地域から国際貢献まで。まさにSQ人間の鏡!
地球環境を考えてエコ商品を買い、身近なボランティアにも参加。他人のために費やす時間を惜しまず、役に立ったときに幸せを感じる。
地元から遠い世界まで見ているあなたには、近距離は電気、遠距離はガソリンで走ることができる、電気自動車とハイブリッドカーにいいとこどりした「プリウスPHV」などのプラグインハイブリッドカーがオススメ。
■5年連続町内会長
世界は把握できないが地元のことならお任せ!
自分の町を愛する行動派リーダー。買い物は商店街、誰かの役に立つのが幸せで、町内会の祭やイベントはこの人がいなけりゃ始まらない!
行動範囲は狭く深くがモットーなので、近距離移動に最適な電気自動車がぴったり。充電した電気を動力源としてモーターで走行するため、ガソリンを使わずCO2排出もゼロ。
■ちょいエコセレブ
周囲の問題には興味なし。エコや平和は世界規模派
自然保護活動で社会貢献することに幸せを感じつつ、自分が欲しいものを手に入れ、物欲が満たされたときもやっぱり幸せを感じる。
つねによりよい未来を願っているあなたは、クルマは究極のエコカー「FCV」(燃料電池車)がオススメだ。水素を利用し電気エネルギーに変換して走行するため、走行時のCO2排出はゼロ。
■中肉中背ジャパニーズ
可もなく不可もなく。どこにでもいる普通人
高いリーダーシップやコミュニケーション能力に憧れる働き者。社会に広く目を向けたいけれど、毎日忙しくてそんなヒマや余裕はなし…。
社会の役に立ちたいけど、なかなか実行に移せないあなたは「せめてクルマはエコカーを」と考える。ハイブリッドカーの代表「プリウス」がピッタリ?
■半径5メートル星人
大事なのは家族と友人。それ以外は「よその人」
コスメやエステなど、自分磨きの投資は惜しまないタイプ。目の前にいる職場の同僚とのつき合いよりも、友人とのスマホでのつき合いを重視。
自分のこと以外ではコストパフォーマンス重視のあなたには、コンパクトで低燃費(40km/l)な最新ハイブリッド車「アクア」がオススメ。
■ロンリー自己チュー
自分にしか関心なし?でもきっかけがあれば…
自分の専門分野や関心事、趣味はとことん追求して没頭。自分勝手と見られがちだが、社会貢献のための手段が見えれば、豹変の可能性も。
「メカとしてのクルマ」に興味がなければ、クルマには関心ゼロ。ペーパードライバーか、あるいは免許すらもっていないかも…。
※女性セブン2011年12月15日号