少子化といわれながらも、中高一貫校を中心に一向に覚めることのない受験熱。最近は、学校説明会に父親も参加する家庭が増加しているという。父親の意向が受験校の選択に反映された場合、難関大学への合格実績や、実社会に出てから役に立つ応用力などの養成を重視する傾向があるようだ。
だが、安田教育研究所の代表・安田理さんは、合格実績や偏差値などの数字を重視するあまり、学校の中身を見ずに受験校を決める父親が増えていることに不安を感じているという。
「偏差値は入学の難しさであって、学校のよしあしではありません。合否の結果ではなくて、どういう受験をしたかというプロセスが大切。なぜ中学受験をするか、どんな大人になってほしいかを夫婦や親子でしっかり話し合い、受験する学校は必ず子供に選ばせるべきです」(安田さん)
安田さんは私立の強みをバラエティーの豊かさという。そのひとつが特定科目に力をいれる中高一貫校だ。英語の公用化が進む日本企業の増加もあって、海外留学をカリキュラムに組み入れる学校は人気が高い。
また、就職氷河期でも比較的就職率が安定している理数系も注目されている。理数系は男子が強い科目という印象があるが、理数教育の分野で特に人気が高いのは女子校。たとえば、小野学園女子(東京)は、“未来の女性科学者の育成”を掲げ、中学の理科の授業の半分に実験を取り入れ、東京農業大学や工学院大学と連携した講義も実施している。
「生徒の好奇心を育てる海城(東京)、他者のために生きる人材を育てる晃華学園(東京)、テストも通知表もない桐朋女子(東京)など、偏差値に表れない魅力を強みにする学校もあります。そうした自由な環境に身を置き、好きなことに打ち込める6年間は、長い人生にとって貴重な時間となるはずです」(安田さん)
※女性セブン2011年12月22日号