今冬のボーナスは平均37万2500円。前年より1.8%下がったが、もらえただけマシといえるかもしれない。なにしろ、昨今の経済環境はユーロ危機に端を発する世界不況、超円高、迫りくる増税…と問題山積。来年の景気の見通しも明るくはない。そんななか、経済評論家の森永卓郎さんがお得な株主優待を持つ国内株を教えてくれた。
森永さんは「いまの日本の株価は企業業績に比べても“安すぎる”」と語る。
例えばその企業の株価が適正かどうかを見る指標のひとつにPBR(株価純資産倍率)がある。PBRは株式総額(その会社が発行しているすべての株式を市場で売却した場合の金額)がその会社の純資産(会社が所有している、不動産や預金、債権などの資産の合計額から借金を差し引いた額)の何倍かを示す指数で、指数が低いほど割安といえる。
「東証一部に上場している企業のうち、PBRが1倍を切っている企業が約3分の2もあり、平均すると0.8倍しかついていない。1倍を切っている株は、いわば原価割れしている状態です。株を全部買い占めてその会社を乗っ取り、資産を売り飛ばせば儲けが出てしまう計算になります」(森永さん)
国内株はバーゲンセール並みの“お買い得”というわけだが、もちろんどの銘柄でもOKというわけではない。冒頭の森永さんの言葉通り、来年、再来年に向けて一段の不況に陥る危険性もあるからだ。
「いますぐに大きな金額を国内株に投資するのは危険。理想は底値を待って買うことですが、どこが底値かをつかむのは非常に難しい。でも、いま株がかなり安いことは確かで、長期的に見れば上昇していくことが予想されます。ウオーミングアップとして、株の取引に慣れておくにはいい時期。取引したことのない人は、いざというときに動けなくて、株価が急激に上がってから株を買って、結局損をしてしまう。その意味では、主婦の人が国内株を買うには適しているときかもしれません」(森永さん)
では、選ぶべきは、どんな銘柄なのか。
森永さんがすすめるのは、株主優待がある銘柄だ。
「例えばビックカメラの株を1株購入すれば、店で使える『お買物優待券』3000円分が毎年もらえるようになります。同社の株価は1株4万1050円(12月2日終値)ですから、これだけで7%以上の利回りです。同社の配当利回りは年2.44%ですから、優待を加えれば10%もの高利回りになるんです」(森永さん)
長く持ち続けていれば、貯金しているよりはるかにお得というわけだ。また、株主優待が充実している会社の株は長期的に見れば値上がりすることが多い、と森永さんはいう。
「株主優待を続けている企業は、財務体質に余裕があり、株主や顧客に対するサービスに積極的だと判断できるからです。そのため安心できる投資対象と見なされ、買いがはいって値上がりしやすい」
株主優待を行っている会社は意外に多いのだ。
株主優待のある株を選ぶ際には、その優待の使い勝手も判断材料にしたい。
「例えば、スギ薬局というドラッグストアは、100株以上の株を持っていれば5%の割引カードと3000円分の買い物優待券がもらえます。ぼくは家のまわりにたまたまスギ薬局がたくさんあるので株を買いましたが、家の近くに店がない人には意味がありません。自分の生活のなかで確実に使う機会のあるものを選ぶのが鉄則です」(森永さん)
自分が普段よく買い物に行くスーパーや外食チェーン、家電店などがどんな株主優待を行っているかをチェックし、その会社の株を狙うのも、主婦ならではの賢い銘柄選びといえそうだ。
※女性セブン2011年12月22日号