「皇室活動の安定性という意味から、たいへん緊急性の高い課題だと認識している」
野田佳彦首相(54)は12月1日の記者会見でこう語ったうえで、「女性宮家」創設を検討することの重要性を述べ、皇室に関する事項を定めた法律である、皇室典範改正に関する有識者会議を発足させたいとの意向を示した。
以来、テレビや新聞を含め、女性宮家創設の是非をめぐる議論が噴出している。
現在の皇室は天皇陛下と22人の皇族からなる。このうち、成人に達していない男性皇族は秋篠宮家の長男・悠仁さま(5才)ただおひとり。
一方、未婚の女性皇族は皇太子さま(51才)、雅子さま(48才)の長女、愛子さま(10才)、秋篠宮眞子さま(20才)、佳子さま(16才)を含め、8人いらっしゃり、このうち6人が成人されている。
皇室典範は第12条で、「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と規定している。
たった22人の皇族方同士のご結婚は現実には不可能だ(仮に皇族同士が結婚しても、現在の法律では男性皇族が当主となるため、女性宮家は創設できない)。
元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司さんがいう。
「皇室のご公務は、天皇による国事行為以外にも数多くあります。各種式典や行事などへのご出席、名誉総裁的な役割、外国との交際などは皇室全体のお務めといえます。これらの皇室活動は皇室と国民を固く結びつけるものですが、皇族の人数が少なくなれば、当然、そうした活動も減っていき、皇室と国民の関係が細っていく。それは天皇と国民の関係が先細っていくことにつながると思います。皇室と国民のつながりを考えれば、やはりある程度の皇族の人数は必要でしょう」
しかし、だからといって、安易に「女性宮家」創設を認めるべきではないという立場をとるのは、旧皇族・竹田宮家出身で、『語られなかった皇族たちの真実』(小学館)の著書もある慶應義塾大学講師・竹田恒泰さん(36)だ。「女性宮家創設論は女系天皇論と表裏一体の問題」としたうえで、こう語る。
「女性皇族への皇位継承権をあいまいにしたままの女性宮家創設など論外です。女性皇族が婿を取って当主となり、その男性との間に子供が生まれた場合、その子供が皇位継承権を持つこともあり得るからです。それは女系天皇誕生の可能性を意味する。皇室は125代にわたって男系をもって受け継がれてきた。その歴史をないがしろにするわけにはいきません」
竹田さんはこう続ける。
「男系継承は天皇の大原則です。それは皇祖つまり初代・神武天皇に連なるものであり、それゆえに天皇は尊いのです。日本の天皇は記録に残るだけでも1500年以上、万世一系を保ってきました。これだけ長きにひとつの血筋を保ってきたのは、世界のなかでも日本の天皇家だけなのです」
同じく、男系重視の立場から、高崎経済大学教授の八木秀次さんがいう。
「私は一代限りの女性宮家創設であれば認めてよいと思います。しかし、女性宮家の子供も皇族と認めることは、女系天皇を認めることにつながりかねず、反対です。皇族の減少を食い止めることが目前の課題であるなら、一代限りにおいて、女性宮家を創設すればよいと思います」
※女性セブン2012年1月1日号