リーダーシップもなく迷走を続ける日本の政治や外交。なぜ戦後これほどダメになってしまったのか。戦前と戦後を比較しながら、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が検証する。
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精神面で見れば、戦前の日本人と今の日本人には非常に大きな違いがあります。戦前までの日本人には、我が身のことは横に置いて公のために働くのが尊いという精神がありました。日露戦争における旅順総攻撃などを見ても、国を守るために命を賭して戦うという使命感がとても強かったと言えます。
それに比べ、今の日本人にはそうした「公」への意識や「強さ」が失われ、目先の利益だけを大切にするようになったのではないでしょうか。目の前のことに心を注ぐのはいいのですが、国全体を思うことができなくなってしまっているように見えます。
それが国レベルで起きた多くの事例の一つが、「子ども手当」に代表されるバラ撒き政策でしょう。目の前のことばかりで、長期的な国づくりの視点が欠落した典型です。
国民は地方自治体に頼り、地方自治体は国に頼り、国は自力で国を守る気概を失い、米国に頼ろうとしています。
戦前の人たちが持っていた「人に迷惑をかけない」「自主自立」という精神が失われ、「頼る」ことばかりを考える国であり国民であれば、日本の未来はありません。
※SAPIO2011年12月28日号