一流大学の学生が就職試験にに強いのは当たり前。しかし採用の現場では「大学名より高校名に注目しろ」なのだという。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が、「最強の東大生」について語る。
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面接官の間で、昔から使われているテクニックがあります。それは、「高校名に注目しろ」というものです。大学は一流でなくても、名門高校に通っていた学生は地頭がいいのではないかというわけです。
名門高校は自由な校風のところも多くて遊び呆けてしまう人もいるわけです。逆に受験勉強がガチガチに厳しく、ドロップアウトしてしまう人も。だから、有名大学ではなくても、高校が名門校なら優秀じゃないかと考えるわけです。上場IT企業の採用責任者は「いまや、一番信頼できるのは高校名では?」と語ります。
高校名重視の背景には、大学全入時代と言われ、私学への入学者の約半分が推薦・AO(アドミッションオフィス)入試という現在、学生の能力・資質への不安があります。なお、大学に関してもどうやって入ったのかを確認する企業も増えているとか。
推薦・AO入試が悪だとは言えないのですが、やはり基礎学力に対する不安と、競争やそれによるストレスを経験していないことを気にするわけです。さらには、中学受験をしたかどうかを確認する企業もあります。
このように大学のブランドがイマイチでも、高校名で救済される動きもある一方で、さらにピッカピカの経歴を求める企業も。大手食品メーカーの採用責任者はこう語ります。
「ウチは東大生を毎年採用しているが、麻布→東大、開成→東大は採用できても、灘→東大は一人も採用できたことがない。企業風土の影響なのだろうか?」
さらに、こんな証言も。外資系戦略コンサルティング会社に勤める社員はこう語ります。
「やはり最強なのは灘→東大。コンサル会社は頭がいいのは大前提。その上で、競争に強くなくてはならない。その両方を兼ね備えたのは、やはり灘→東大」
ただ、別に大学や高校が有名であればいいというわけでもありません。大手食品メーカーの元人事部長はこう語ります。「同じ慶應でも、内部進学者は採らない方がいいことに気づいた。賢くないし、甘ったればかりでどうしょうもない」なるほど。まぁ、これは慶應ならではのような気もしますが。
そうそう、高校差別が盛り上がりそうな中、面白い本が出ました。『男子校という選択』(おおたとしまさ 日経プレミアシリーズ)です。佐々木俊尚さん風に言うならば、「これは良視点」という感じです。東大合格トップ10のうち8校は男子校だとか。男子校を中心に強い高校の法則がわかります。ご一読を。