現在は史上空前の円高状態だが、本来ならば、20年もGDPが低迷している日本に投資が集中するなど市場原理が発達している国では信じられないと投資アドバイザーの藤巻健史氏は言う。現在の円高トレンドの大きな要因は「為替リスクを恐れるあまり、資金が日本国内に留まり、外に出て行かない」からだという。史上空前の円高に藤巻氏が警鐘を鳴らす。
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崖崩れはいつ起きるのか。その合図は、「日本国債の未達」です。
国債の大半は毎月の入札によって販売されています。この入札で予定額が集まらず、さばききれないことを「未達」といいます。
日本は、いつ国債未達になってもおかしくありません。通常、経済成長を遂げている国では、成長に伴い個人金融資産が増えます。そのうちの何割かが銀行などの預金です。さらにその預金の何割かが国債購入に回ります。したがって経済が成長している限り、国債購入の新しい原資が生まれているということになります。
しかし日本は、この10年間、個人金融資産が増えていません。これでは新しい購入原資が生まれてくるはずがありません。
未達になったらどうなるでしょうか。
国債未達のニュースが流れれば、瞬時に国債先物市場は値幅制限まで下落し、ストップ安となるでしょう。現物債も急落(長期金利が急騰)します。同時に株の先物市場もストップ安をつけ、同じように値がつかぬまま数日間続くでしょう。同様に株の現物市場も急落します。これに伴い円も暴落します。
つまり、とどまるところを知らない「株・債券・円」のトリプル安が日本を襲うのです。そうなれば「円」は、固定相場制の時代の360円まで下落してもおかしくありません。
未達が起これば政府に必要なお金が集まらないことになります。足りないお金は日銀が紙幣を刷って国債を引き受けるという形をとることになるでしょう。そうなるとハイパーインフレです。
100万円の預金も、タクシーに数回乗るとなくなってしまいます。せっかく貯めたあなたの円資産も、暴落するということです。
つまり「株・債券・円」のトリプル安が日本を襲う前に、あなたの円資産を、別の場所に逃がさなければならないのです。
※『サラリーマンのための安心税金読本』(小学館)より