正月三が日の初詣参拝者数は9939万人(平成21年調べ)。国民のほとんどが寺や神社で祈願していることになるが、人々が寺と神社を同時に参拝する背景には、日本人に息づく神仏習合の歴史がある。
実際、寺院の中に神社が存在するケースも多く、そこでは様々な仏教行事が行なわれている。
たとえば、奈良・東大寺の「修二会(しゅにえ)」。これは、練行衆と呼ばれる僧侶11人が2月末日から戒壇院別火坊と二月堂参籠(さんろう)宿所に籠り、人が犯したあらゆる罪を懺悔し、1年の幸せを祈る仏教行事だ。「お水取り」の名で知られる。
練行衆は二月堂本堂前の小さな神社に鎮守のための祈りを捧げる。僧侶の咒師(しゅし)が御幣で練行衆を清める「大中臣祓(おおなかとみのはらい)」など、儀式には神仏習合が色濃く残る。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2012年1月1・6日号