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「1ドル=100円になるまで無制限に介入すべき」と森永卓郎氏

経済アナリストの森永卓郎氏は、「欧州財政危機はEU首脳間の包括的合意により、いったん収束に向かう」と見ている。これにより、ユーロが一方的に売られる可能性は低くなったというが、日本の円高はどうなるか。以下、森永氏が解説する。

* * *
今の超円高が止まるかといったら、そう簡単にはいかないでしょう。日本政府・日銀が、円高対抗策をまったく取る気がないからです。

米欧通貨が弱さの綱引きをする中で、資金の避難先となったのが日本とスイス。そのため、円とスイスフランはとんでもない通貨高となりました。だが、2011年9月、大きな出来事が起こりました。スイスの政府と中央銀行が1ユーロ=1.2スイスフランになるまで、無制限に単独で為替介入すると宣言したのです。その結果、為替調整が一気に進み、スイスフランは1か月足らずで目標の水準まで値下がりしました。

もし、日本政府・日銀に円高を本気で止めるつもりがあるなら、まさにスイスと同じことをやればいいのです。

10月27日、1ドル=75円台という円の高値更新を受けて、日銀は、国債やETF(上場投資信託)など金融資産の買い入れ枠を実質20兆円まで拡大する追加の金融緩和策を発表しました。しかし、ここまで酷い状況にある中で、たった20兆円では少なすぎる。また、10月31日以降、円売り介入を実施していますが、これでもまだ足りない。例えば、スイスと同様に、1ドル=100円になるまで、無制限に円売り・ドル買いを行なうと宣言し、実際にやればいいのです。

しかし日銀は金融緩和に後ろ向きですから、円高とデフレは、2012年もズルズル続いていく可能性が極めて高そうです。

ただし、2012年度の日本経済は緩やかな回復基調がみられると考えています。3次までの補正予算を合わせて18兆円の復興事業費が出てくるので、復興需要が経済を下支えし、やや盛り上げるくらいの効果は期待できると考えています。過去をみても、1923年の関東大震災の後は1927年まで、1995年の阪神・淡路大震災では1997年まで、復興需要が経済を下支えしました。

※マネーポスト2012年新春号

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