世界には珍妙な税金が今もなお存在する。ここでは、そんな一風変わった税金を紹介したい。たとえば、中秋節(旧暦の8月15日)、中国では月餅を食べながら月を愛でる慣習があり、企業が福利厚生の一環として従業員に箱入りの月餅を配る。
2011年、政府は、職場で受け取った月餅を所得の一部として課税する「月餅税」を導入した。中国の税制によると、月収4000元(約4万8000円)の社員が300元(約3600円)相当の月餅を受け取ると45元(約540円)の月餅税がかかる。庶民のささやかな楽しみにまで課税する中国の恐さが際立つ課税だ。
しかし、この課税により中国4000年の歴史に異変が起きた。中国全土で月餅拒否運動が起こり、多分、中国の歴史上初めて人民が「月餅を食べたくない」と言い放ったのだ。
中国にはこのほかにも、8月23日に南京市地税局が導入を発表した「加名税」なる悪税がある。もともと、中国にはマンションを購入して所有者登録する際、「記名税」がかかる。この所有者(主に男性)が結婚すると、配偶者の名前もマンションの名義に入れる。この時に課税するのが「加名税」である。
ところが、人民の反発を受けて31日に廃止を決定。なんともお粗末な結果だ。
※『サラリーマンのための安心税金読本』(小学館)より