2011年のアイドル界は、相変わらず『AKB48』旋風が席巻した。その勢いは弱まるどころか、ますます強くなっているのが現状だが、業界の一部では、確実な変化も起きつつある。『地方アイドル』の東京進出ラッシュである。
『ローカルアイドル』『地元アイドル』とも呼ばれる彼女たちは、出身地である地方を本拠地として芸能活動を行ない、東京や大阪といった首都圏で活動することは、極めては稀。1990年代半ばにぽつぽつと現れ始め、さらに2000年代半ば以降に急増したが、たまにメジャーなメディアに取り上げられることはあっても、その人気はあくまで地域的なものにとどまっていた。
しかし、2010年から2011年にかけて、地方アイドルが東京でライブを行なうことが飛躍的に増え、いまでは毎週末どこかのライブ会場で地方アイドルがライブを行なっている、といえる状態になりつつある。
このような現象が生まれた大きな理由は、『TOKYO IDOL FESTIVAL』(東京アイドルフェスティバル)の存在がある。
2010年に、日本初の大規模アイドルフェスとして開催された『TOKYO IDOL FESTIVAL』は、メジャーどころ以外に、これまで東京でライブ活動をしたことがない地方アイドルが大挙して登場。2011年は、8月27日、28日の2日間にわたって、お台場・フジテレビ周辺に開設された8つのステージ上で、総勢57組396人が熱いパフォーマンスを繰り広げた。
主な出演者は、『アイドリング!!!』『iDOL Street ストリート生』『アフィリア・サーガ・イースト』『Oh☆Canpee』『さくら学院』『私立恵比寿中学』『SUPER☆GiRLS』『東京女子流』『腐男塾』といったメジャーおよび中堅どころに加えて、『DOROTHY LITTLE HAPPY』(仙台市)、『むぎわら☆娘』(つくば市)、『テクプリ』(仙台市)、『Pinkish』(加須市)、『JK21』(大阪市ほか)、『R☆M』(札幌市)、『ファンタ☆ピース』(大阪市ほか)といった地方アイドルたち。
この『TOKYO IDOL FESTIVAL』は、東京でライブをしたことがない地方アイドルにとっては格好のプロモーションの場となり、その場で多くのファンを獲得したグループも少なくない。その結果、人気を博した地方アイドルは、今度は単独で、あるいは他のグループアイドルと合同で自主的にライブ活動を東京で行なうようになったのである。
そうしたライブは、当初はライブハウスを会場とした小規模なものが多かったのだが、徐々に本格的なコンサート会場を使うことも増えている。2011年11月には、『Tokyo Idol Carnival ver.1』が中野サンプラザで、『アイドル横町祭』が渋谷公会堂で開催され、いずれも、2000~3000人規模の集客に成功している。あるグループアイドルのメンバーのマネージャーは、こう解説する。
「地方アイドルのメンバーは、地方の芸能スクール出身者が多く、歌やダンスに関する基本的なトレーニングは積んできている。そのため、ライブの完成度は結構高いんです。さらに、実際にライブ会場へ足を運ぶマニア度の高いアイドルファンは、“先物買い”の傾向が強いので、地方アイドルを応援する人が増えているんです」
現在、地方アイドルの数は100を優に超えているとか。あなたの地元にも、必ずアイドルがいるはず。