中国で人身売買の巨大ネットワークが次々に摘発されている。中国公安省は2011年12月初旬、四川、福建など10省・自治区にまたがる子供誘拐事件を摘発し、178人を救出、容疑者608人を拘束した。2009年4月の誘拐摘発キャンペーン開始以降、公安省は、これまでに約1万8500人を救出したが、誘拐された子供はその数倍以上といわれる。
中国共産党機関紙「人民日報」などによると、四川省で2011年5月、3人の乳児を乗せた不審な車が発見され、警官が調べたところ、子供たちは誘拐されて福建省に売り飛ばされることになっていた。犯人の自白から、巨大な誘拐ネットワーク組織があることが判明し、今回の摘発につながった。
また、山東省の事件では、乳児を売っていたのは主に四川省の貧困地域出身の出稼ぎ労働者夫婦で、妻が赤ん坊を売って稼いでいたという。警察では売られた乳児17人を発見し、13人を養護施設に保護している。
中国で3億人が利用するミニブログ「微博」には、誘拐された子供の写真や携帯電話番号を載せ情報を求める書き込みがあふれている。「今年1月、遊んでいた2歳の息子が中年の女に誘拐された」などという文面だ。
中国では、これらの誘拐された子供たちの“需要”が高い。悪名高い「一人っ子」のせいでどうしても男児がほしい両親が、誘拐された子供と知っていても、買い取るからだという。
男児の値段は5万元(約62万円)程度で、女児は3万元(約37万円)といい、やはり男児の方に需要が集まっている。
米国務省も中国人権レポートで、「中国はあらゆる年齢の人々が奴隷労働や性産業などのさまざまな目的で人身売買される、取引の中心地となっている」と警鐘を鳴らしている。