昨年は震災などの影響もあって、改めて「強い父親」が求められた。かつて『スパルタ教育』(光文社)という本を上梓し、「父性」の復権を唱えてきた石原慎太郎・東京都知事(79)にプロインタビュアー、吉田豪氏が石原流教育論を聞いた。
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――『スパルタ教育』は社会的には正しくないといわれそうなことばかり書いてある本だったんですけど、読むと納得できることも多かったんですよね。
石原:なるほど、社会の通念とか社会の規範っていうのは、ある意味、みんなが無難に摩擦を起こさず生きていく、ひとつの最低限の約束みたいなものでしかないからね。
――だって、「親は自分のいちばん軽蔑する人間の話をしろ」なんて、社会的に考えたら確実に間違ってるわけじゃないですか(笑)。
石原:ハハハハハ! 昔、書いた本ですから、ちょっといきがったところがあるかもしれない。いまは自分では読みたくないね(笑)。
―そうなんですか?
石原:いや、照れくさいから(笑)。ただひとつだけ間違ったのはね、性教育の話が書いてある本があったでしょ。
――『真実の性教育』(昭和47年/光文社)ですね。これも好きな本です。
石原:これでひとつ間違ったのは、やっぱり同性愛の人間っていうのはかわいそうなんだよ。これはあとになってわかったな。
――同性愛者の批判をされてましたね、この本でも。「同性愛は不能者のすることだと教えよ」とか。
石原:うん。美輪明宏、昔、丸山臣吾っていってたんだけど。あいつが霊感があるとかさ、三島(由紀夫)さんには磯部浅一(二・二六事件を指揮し、銃殺された陸軍軍人)の霊がついているとかいうわけ。三島さんは気味悪くても喜んでいたな。でね、あいつは俺のことをすごい憎んでたらしいんだ。
――ああ、都知事を嫌ってるのは有名ですね。
石原:俺を呪い殺すとかいったらしいけど(笑)。
――生きてますね(笑)。
石原:俺はあいつの呪いより強いと思うけどね(笑)。大体男が、あの歳であんな格好で出てきやがってと思ってたけど、美輪も同時に気の毒になってきた。遺伝工学の先生に聞いたら、人間に限らず哺乳類ってどんな世界でも必ず何パーセントかは純粋なホモができちゃうんだと。それ以外にも、人間にはいろいろな意識があるから、何かのきっかけでホモセクシャルに耽溺(たんでき)する人も出てくるらしいんだ。
――都知事は絶対ならないといわれたらしいですね。
石原:ああ、僕は純粋なヘテロですからね(笑)。いや、わからんよ、どんでん返ったら。ただ、ライオンにしろゾウにしろ、発情期になって雄が雄を追いかけたりすると、「なんだこいつは?」って群れからキックアウトされちゃって、孤独になって死ぬんです。そういう点では人間の場合も気の毒なんだなと反省したんだ。だから、そこは間違ってます。
――都知事はホモの人に嫌われがちじゃないですか。おすぎとピーコさんも、すごい悪口をいってましたからね。
石原:ハハハハハ! 昔、なんかの番組に選挙のあと出たら、税金のことでおすぎとピーコが偉そうにいったんだよ。それで僕は何もわからんから「君らは歌手?」って聞いたら、「うわ、歌手に見えますか? うれしいわ、ホントはそうなりたいの」っていわれて、「おまえらオカマか! 俺はオカマとナマコは大嫌いなんだよ!」って(笑)。
※週刊ポスト2012年1月13・20日号