円高や電力不足のニュースに必ず添えられる「産業空洞化の懸念」という一言。世界をリードしてきた日本の技術力は、今どのような状況に置かれているのだろうか? 疲弊する日本の製造業の現場とは対照的に、着実に技術を身に付けるアジアの若者たちの姿を、経済ジャーナリストの山下知志氏がリポートする。
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アジアの若者は着実にスキルを磨いている。例えば、日本では中国企業といえば、技術力が低く、モノマネが多いと考えがちだが、それは5年、10年前の話。中国国内での競争を勝ち抜いてきたローカル企業は、技術力も品質も高く、さらにレベルアップを目指している。
日本国内の工場でも、“研修生”という名目の外国人労働者は、いまや主力の働きである。日本に製造業の「職」がないのではなく、それさえも外国人に取って代わられているのが現実なのだ。パナソニックのある幹部はこう指摘する。
「韓国企業や台湾企業の技術力、製品展開力、そして販売力は、日本企業以上のものがある。中国企業も急速に技術力を高めてきて、韓国、台湾企業に並ぶ最終製品メーカーとしてのブランド力を持つようになりました。国内の下請け企業以上の実力を持つ企業も増えている」
大手企業にとって、超円高や電力不足は、ある意味で海外移転の大義名分ともいえる。実際には肝腎の技術力でも、日本はアジアに後れを取り始めている。
※週刊ポスト2012年1月27日号