野田佳彦・首相が年頭会見で消費税増税を「ネバー・ネバー・ネバー・ネバー・ギブアップ」と語るなど、露骨な増税路線が打ち出されている。財務省も大新聞、テレビに対して反増税言論人をださないよう圧力をかけている。その結果、大メディアでは増税やむなしの大合唱が生まれつつある。
では、財務省の言いなりにならなければどうなるか。
全国紙では唯一、増税批判の姿勢を取っていた産経新聞に、昨夏、国税の税務調査が入った。財務省にとって税務調査は言論統制の最強の武器で、2009年には朝日、読売が申告漏れを指摘され、それを機に朝日は増税礼賛へと傾斜し、読売は財務省幹部の天下りを受け入れた経緯がある。
産経新聞で増税批判の先頭に立つ田村秀男・編集委員兼論説委員が語る。
「漏れ伝わってきた話では、ある会合で社の上層部の者が、財務省の有力OBから『おたくの田村はひどいな』といわれたようです。私自身は財務省から直接、何かいわれたことはないが、組織の上には一言あったということです」
田村氏は持論を変えていないが、産経も税務調査後は「増税やむなし」論が目立つ。大メディアの増税翼賛会はこうして完成された。
※週刊ポスト2012年1月27日号