「△□一」「月夢杏」「恋恋愛」など、フリガナなしにはなかなか読めない、いわゆる「キラキラネーム」は増え続けるばかり。都内の小児科に勤める看護師の女性はこう語る。
「ウチでは、お子さんの名前はフルネームで呼ぶ決まりだったのですが、最近は読めない名前が多すぎて、先生から“もう名字だけでもいいよ”といわれました(苦笑)」
現在、名前に使える漢字は常用漢字と人名漢字を合わせて、2997字体あるが、名前の読み方に制限はない。例えば、男の子の名前で人気の「大翔」も「ひろと、はると、やまと、たいが……」と、読み方は千差万別。もはや名前すらも「難読漢字」となっている。
明治安田生命が発表した「生まれ年別名前調査」最新版(2011年生まれ)でも、想像力豊かなキラキラネームが揃う。
2011年以降の特徴は、東日本大震災の影響を受けていることだ。男の子のキラキラネーム「るきあ」でも、2009年生まれは「琉星」が当てられていたが、昨年生まれは「琉絆空」。女の子は「葵絆(きずな)」がランクインするなど、「絆」の文字が目立った。
その他にも「祷→結空祷(ゆらと/男の子)」、「祈→祈愛(のあ/女の子)」、「縁→縁士(えにし/男の子)」など、震災による人との「つながり」、復興への「祈り」が名前に込められている。
ちなみに、100年前の1912年(明治45年・大正元年)生まれの男性の名前ベスト10(明治安田生命調べ)をみると、1位は「正一」。何とベスト10の半数が「正」の入る名前だった。
「正」のつく名前は、昭和元年まで15年間トップ10入りするが、昨年生まれの男の子の名前では、ランキング圏外に。時代とともに、名前は移ろい、変わりゆくのである。
※週刊ポスト2012年2月17日号