本誌新年号(1月1日・6日号)の特別年表企画『史上最強の女子アナは誰だ!』は、オールドファンを中心に大反響を呼んだ。今回は第2弾として「NHK編」をお届けする。
NHKの女子アナには、大きく分けて2つの系譜がある。「報道・キャスター型」と「スポーツ・バラエティ型」だ。現在、「報道のエース」と目されているのが小郷知子。森田美由紀以来、7時のニュースでは12年ぶりとなる女性メイン司会(土日のみ)を務めている。「神々しい美貌」(40代・会社員)と、ルックスでも注目を集める。
「スポーツ・バラエティ型」の人材は個性的だ。
女性初の紅白総合司会を務めた杉浦圭子をはじめ、道傳愛子、福島敦子などが、バブル期を支えた。
すっかり懐かしい名前となった道傳だが、現在もNHK勤務。国際情勢専門の解説委員として活躍中だ。
民放の女子アナが結婚を機に寿退社する印象が強いのに対し、NHKの女子アナの多くは結婚・出産後も職場にとどまる。定年まで勤め上げるケースもある。
一方、局アナ時代からアイドル的な人気を集め、タレントに転じたのが久保純子や住吉美紀。住吉は、『ミヤネ屋』の裏番組としてフジテレビが4月からスタートさせる情報番組の司会に内定。双肩に期待がのしかかる。
「フリー待望論」が高まっているのが有働由美子。『あさイチ』のぶっちゃけキャラで開眼。『ためしてガッテン』で天然キャラを見せる小野文恵とともにNHKでは珍しいタレント型だ。
一口に「NHKの女子アナ」といっても、時代によってタイプが異なることに気づく。コラムニストの石原壮一郎氏が分析する。
「NHKの女子アナは、時代が求める“常識的な女性”の見本かもしれません。顔ぶれを見ると、当時の時代背景がよくわかる。野際陽子さんや桜井洋子さんからは“女性の社会進出”の看板を担う聡明さと芯の強さを感じますし、頼近美津子さんや福島敦子さんからは、バブルの華やかな匂いが漂ってくる。ところがバブル崩壊後は有働さんや武内陶子さん、青山祐子さんのように、親しみやすい“癒し顔”がメインになってきます」
そして2012年。現在売り出し中のNHKアナは、正統派の美人揃い。鈴木奈穂子、井上あさひ、久保田祐佳といった若手がエース争いを繰り広げている。
「現代は、消費活動においても、男女の評価基準としても“モテるか否か”が最重要キーワード。つまり可愛いだけでも仕事ができるだけでもダメということ。時代は一回りし、テレビ黎明期のような才色兼備が求められているのかもしれません」(石原氏)
懐かしの顔を見れば、当時の記憶がありありと蘇る。女子アナは、時代を映す鏡だったのである。
※週刊ポスト2012年2月17日号