厚生労働省の調査によると、うつ病などの気分障害で通院している患者数は2008年段階で104万1000人で、これはその9年前の調査と比べて2.4倍も増えている。年齢別では男性の場合40代が最も多く、女性では20代後半から急激にその確率が上がり、年齢と共にゆるやかに増えていく。
うつ発症の原因が仕事や人間関係のストレスであることは言うまでもないが、専門医によればもう一つ、“セロトニン”という脳の伝達ホルモンの減少も大きく関係してくるという。
セロトニンの分泌量が少なくなるとまず不眠の症状が表れ、これにより脳は休息できずにストレスが蓄積され、さらにセロトニンが少なくなればホルモンバランスがバラバラになってうつ状態へと進行していく。
ひとたびうつに陥ると、引き金になったストレス環境を取り除いてもセロトニンの分泌量を増やさない限り完全な回復は難しい。
そこでこのセロトニンの分泌を促す素材として注目されているのが、『鯉の油』だという。鯉から特殊な抽出法で抜き取った鯉の油をうつに悩む人たちに飲ませてみたところ、セロトニンの分泌量が増えたというのである。
この結果について専門家は、「鯉の油に含まれているアラキドン酸という成分が自律神経のバランスを整え、セロトニンの分泌を活発にするものと思われます」と話した。
※週刊ポスト2012年2月17日号