ライフ

日本語学者の金田一秀穂氏 「難読漢字は読めなくてもいい」

「魑魅魍魎」や「薔薇」などといった漢字を自分で書けないと少しだけ恥ずかしい気持ちを抱く方もいるかもしれないが、クイズ番組に登場し、日本語学者としての知識を披露している金田一秀穂・杏林大教授は、難読漢字に対して「別に恥ではない」と語る。以下、金田一氏の解説だ。

 * * *
 私は「難読漢字は読めなくてもいい」と思っています。日本語学者である私のような立場の人間でも「読めない」ことは別に恥ではない。

 ただもちろん、読める人はとってもすごい、ということは間違いありません。

 難読漢字は、基本的には日常で目にしない漢字です。書けたとしても相手に通じず、普段のコミュニケーションの場では使いづらい。

 漢字には同音語が多く、会話には不向きです。例えば「現地はコウテンです」と聞いて、「好天」か「荒天」か、音だけではわからないでしょう? わかりやすく「いい天気です」と伝えるほうが、ずっといい。

 そもそも漢字は意味を伝えるものであり、読み方を伝えるものではありません。つまり、難読漢字を読めるだけでは実用性も、必要性もない。その意味まで理解して初めて役に立つのです。

 例えばテントウムシは、「瓢虫」と書きます。姿はくびれた瓢箪型ではないのに、不思議ですよね。ただ読めるだけでは、そこまでで終わってしまいます。

 しかし、実は「中国の瓢箪は円い」ということがわかれば納得する。中国文化への理解が深まりますし、世界を楽しむ窓口にもなり得るでしょう。物事をより深く感じ、楽しむことができる。キャバクラで披露したらモテるかもしれない(笑い)。

※週刊ポスト2012年2月17日号

関連キーワード

トピックス

中村芝翫と三田寛子
《恋情ドライブデート》中村芝翫「愛人との関係が切れない…」三田寛子が待つ自宅との“二重生活”、愛車は別れを惜しむようにベイサイドを周回
NEWSポストセブン
傷害致死容疑などで逮捕された川村葉音容疑者(20)、八木原亜麻容疑者(20)、(インスタグラムより)
【北海道大学生殺害】「年上の彼女に頼られて…」女子大生2人が死刑か無期懲役の強盗致死罪で起訴 なぜ少年Aは見知らぬ相手を死に至らしめる暴力を振るったのか
NEWSポストセブン
大阪桐蔭時代に夏の甲子園第100回記念大会の優勝投手となった元日本ハム・柿木蓮
【戦力外通告を受けた大阪桐蔭「春夏連覇のエース」の現在】元日本ハム・柿木蓮が明かす「イップスに苦しみました。投球フォームがバラバラになっていた」
NEWSポストセブン
セクシー女優への転身を発表した瀬戸環奈さん
【セクシー女優転身】1000年に一人の逸材・瀬戸環奈に60分独占インタビュー「水着と裸は布1枚あるかないかの違いでしかない」
NEWSポストセブン
フォロワー370万人超のインスタを約1年ぶりに更新した長澤まさみ
長澤まさみ、“1件残して全削除”していたフォロワー370万人超のインスタを約1年ぶりに更新 スタイリングを担当した“芸能界のお姉さん”のためか
女性セブン
ボランティア女性の服装について話した田淵氏(左、右は女性のXより引用)
《“半ケツビラ配り”が話題に》公選法違反で東大卒医師が逮捕「先生は私を開発してくれる」編タイ姿でよじ登る人も…女性スタッフが語った“真相”
NEWSポストセブン
旧交を温めたふたり(時事通信フォト)
安倍昭恵夫人がトランプ次期大統領と面会「仕掛け人は麻生太郎・元首相」説が浮上 「石破首相に恥をかかせるため」の見方も
週刊ポスト
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
《“地獄の家”に戻り…》ススキノ事件・田村瑠奈被告(30)の母親・浩子被告 保釈後に自宅付近で目撃される「髪を後ろで一つにしばって」
週刊ポスト
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《独占告白・八田與一容疑者の祖父が語る》大分・大学生死亡ひき逃げ事件「時効がきたらあたたかく迎えてやる」「コロナでフラフラだった」
NEWSポストセブン
「食レポSNS」を再開した斎藤元彦・兵庫県知事(時事通信フォト)
兵庫・斎藤元彦知事が「食レポSNS」を再開で「またおねだりか?」の厳しい声も…再選後に訪れたそば店が明かす“イメチェン”の成果
NEWSポストセブン
物議を醸した一連の投稿(現在は削除済み、画像は編集部で一部加工しています)
《頭部がたくさん並んでいるよ》女性美容外科院長“ご献体”前でのピース写真が物議 主催者は「投稿に違和感はない」と反論
NEWSポストセブン
ドラフト会議で注目を集めた清原正吾
《慶大体育会野球部・清原清吾の就職先》両親の影響で「電通か博報堂」も浮上 芸能関係の会社も視野に
NEWSポストセブン