国家の重要機密を盗み出す女スパイ――映画ではお決まりの設定だが、インテリジェンスの現場で長く勤務した経験を持つ元外務官僚で、話題の新刊『国家の「罪と罰」』(小学館)の著者である佐藤優氏は、スパイの実態をこう説明する。
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米国におけるロシア人スパイ事件は、2010年7月9日にオーストリアの首都ウィーンで米露のスパイ交換が行なわれ、幕引きとなった。その過程で「美人スパイ」アンナ・チャップマンに関するさまざまな情報がマスメディアを賑わせた。
実はスパイの世界で絶世の美女とか美男はほとんどいない。また極端に醜い男や女もいない。なぜだろうか? スパイの世界で重要なのは、目立たないことだ。美人は目立ち、記憶に残りやすいのでスパイには向かないのである。アンナの写真や動画を冷静に見てみよう。
モノによっては美人に見えるものもなくはないが、この程度の容姿のロシア人女性ならば、掃いて捨てるほどいる。
※『国家の「罪と罰」』より抜粋