大地震は本当に来るのか? もうその問いかけは何の意味もなさない。M7級の首都直下型地震は間違いなくやってくると考えて、対策を施すしかない。防災グッズの準備も大切だが、直下型の場合は家の倒壊に備えるべく、地盤のチェックも極めて重要となる。
地盤によって揺れの大きさが異なるが、実際、首都圏は“どこがどれほど”揺れやすいのだろうか。
それを左右する大きな要素のひとつが土地の歴史。かつて、そこがどのような土地であったのかを知ることが大きな手がかりとなる。住まい選びに詳しい東京情報堂の中川寛子さんは、「土地の歴史は名前に表れる」と説明する。
「水辺そのものを示す『川』『岸』、水辺に関連する建造物の『橋』『堤』などは要注意ワード。こうした文字がはいった地名の所は昔は池や川、海だったことが多いです。『窪』『池』『沢』など水に関するサンズイのはいった地名や『荻』『蒲』『菅』など水辺に見られる動植物に関連する文字がはいった地名も以前は水辺であったことを示しており、地盤が弱いことが多いですね」(中川さん)
海沿いではない「池袋」(豊島区)「沼袋」(中野区)「下北沢」(世田谷区)なども、地名から水と深い関係のあった土地だったことがわかる。
「池袋は諸説ありますが、もともと“袋状の窪地”が名前の由来だそうで、沼袋は低湿地でした。下北沢は“北にある沢”が由来です。いずれも水と関係する場所なので地盤が弱い可能性があります」(中川さん)
地名に『台』『丘』『山』など高台を意味する言葉は安心なように思えるが、そこにはこんな落とし穴も。
「23区の半分をしめる武蔵野台地上の山の中にも、周囲と比べて低い地域があります。昭和30年代以前は土地の高低に従って安全な高い地域に住む人が多かったけど、高度成長期から平成初期にかけて首都圏で人口が増えて宅地がなくなり、低い窪地を埋め立てたり高い崖を切り崩したりして宅地を増やしました。新しい土地は地盤が弱いことが多いので注意が必要です」(中川さん)
※女性セブン2012年2月23日号