ものまね四天王として人気を博してきたコロッケ(51)が、超まじめに、貧乏暮らしをしながらも、瀧川広志(本名)という息子を育て、コロッケを誕生させてくれた母親との思い出を赤裸々に綴ったのが著書『母さんの「あおいくま」』(新潮社)だ。
最も伝えたかったのは表題の「あおいくま」。
あせるな
おこるな
いばるな
くさるな
まけるな
これらの頭文字だ。コロッケが物心ついたときから、母の手で書かれたこの「あおいくま」の紙が家の柱に貼られていた。
「あおいくま、せこばさけ、るるるるる…」と横に読んだ広志少年に母親は正しい読みを教え、「人生はこの5つの言葉たい」を口癖にしていた。
両親はコロッケが3才のころに離婚し、母は女手ひとつで1才上の姉とコロッケを育てた。母親の実家は、熊本市内でも一、二を争うパン店だったが、空襲に遭って焼け出され、すべてを失った。離婚後、実家に戻ってみたものの、ふたりの子供を抱えての貧乏暮らし。それでも母はへこたれなかった。
<困ったとき、どうしようか三日は考える。でも四日目には悩むのはやめて、一歩前に進むことを考える。悩んでたって、しょんなか(しょうがない)でしょう>
「うちの母親は、強さといいかげんさが同居しているんです。そしてプラス思考で、すべてを受け止めていく。子供のころは楽しいだけのお母さんでしたが、大人になるにつれて、気負わない母はすごい人だなあと思うようになりましたね」
コロッケの母は、とにかくユニークでおもしろい。姉と一緒にでテレビを観ながら母の帰りを待っていると、予定より1時間も早く、母親が帰ってくる。もう寝ていなければいけない時間だから、子供ふたりはあわてて布団にもぐりこむ。すると母親は、
<部屋に入ると、なんと電気もつけず、あいうえおの順に、突然笑い出すのだ。
「あ~~はっ、はっ、はっ!」
一呼吸おいて、
「い~~ひっ、ひっ、ひっ!」>
「布団の中で笑いをこらえているんですが、もうだめ、って、母子3人で大爆笑ですよ。あるとき、テレビでステーキが出てきた。ぼくらは豚肉を焼いたのをステーキだと母にずっと教えられていましたから、姉とふたりで“テレビは嘘をつきよる”といってたくらい。そういう母親のDNAはぼくに確実にはいっているわけで、コロッケの芸風にも確実に影響していると思いますよ」
※女性セブン2012年2月23日号