ソウルの日本大使館前に反日団体によって「従軍慰安婦の碑」が建立されるという暴挙に、韓国人の苛烈さを見て取った日本人も多いだろう。だが、ソウルだけではなかった。彼らは韓国内だけでなく、アメリカでも同様の碑を建てていた。日本人を貶める反日運動は、より戦略的に全世界で展開されようとしているのだ。ジャーナリストの水間政憲氏が報告する。
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ソウルの日本大使館前で慰安婦碑の除幕式があった昨年12月14日、地球の裏側ではある告知記事が配信された。米国ニュージャージー州北部のローカルニュースを中心に扱うサイト「North-jersey.com」に掲載されたその告知は、ニュージャージー州パラセイズ・パーク市の図書館で2名の元慰安婦が行なう演説の案内であった。そこでは、
〈この2人の女性は韓国系アメリカ人の有識者評議会によって、アメリカ合衆国に招かれた人達で、(中略)日本軍による性奴隷として奉仕させられた数千人のアジアの女性と共に「捕虜収容所」に於いて、囚われの身で過ごしたのです〉
と、紹介されていた。さらに、パラセイズ・パーク図書館責任司書のスティーブ・カバルロ氏の「彼女たちはこのことを広く知ってもらい、このようなことが再び起きないよう、やって来ました」というメッセージも掲載されていた。
捏造歴史認識は、ますますエスカレートしている。「慰安所」が「捕虜収容所」にすり替えられているのである。
しかし一体なぜ、訪れた先がニュージャージー州パラセイズ・パーク市の図書館だったのか。実は、そこに「日本軍従軍慰安婦の碑」(キリム碑)が設置されているのだ。
「キリム碑建立運動」は、韓国人有権者センター(KAVC)の主導で、2009年から始まったが、当時、同市住民は、特定民族の「追悼碑」を建てることに強く反対した。だが、街の人口約1万7000人に対し、韓国人が36%を占めるという、全米で最も韓国人が居住している地域でその反対の声はかき消された。
在米韓国人のロビー活動が奏功し、パラセイズ・パーク市長や市議会の判断によって2010年10月23日に碑は建立された。因みに同碑をデザインしたのは前出の同図書館責任司書カバルロ氏である。
※SAPIO2012年2月22日号