50年にわたって放送されていたNHK『中学生日記』がこの3月に終了する。中学生が抱える、いろいろな悩みを描いてきたこの番組だが、特殊なケースを取り上げることもあった。
2006年に、『中学生日記』の脚本を担当した竹内一郎(筆名:さいふうめい)さんは、出演する生徒たちへの聞き取りで、学校で同性の男子たちから性暴力を受けている男子がいることを知った。スタッフからの反対もあったが、脚本を書くため男性の性被害に詳しいNPOやカウンセラーを訪ね、数名の性被害者と20名以上の中学生から聞き取り調査を行った。
「その体験を話してくれたのは、いわゆる“オネエ”的な男の子でした。“まさか”と思ったんですが、その後の取材で、同じような性暴力でつらい思いをしている被害者が他にもいることを知りました」(竹内さん)
最終的に提案会議で了承されてオンエアに。番組はネットや新聞で「ぼくも同じ。誰にもいえなかった」「自分だけじゃないとわかった」などと大きな反響を呼び、再放送を求める声がNHKに殺到した。
「これは特別な例ですが、時代は変わっても中学生は小さいことや大きいことでいっぱい悩んでいます。大人のように、その悩みから目を背けてやり過ごせないのが中学生。確かに、メールやインターネットでの相談は、悩みを解決する手段のひとつかもしれません。でも、やっぱり肉声であったり、言葉の温かみがある伝達手段のほうが、子供たちの心は救われると思います」(竹内さん)
※女性セブン2012年2月23日号