歳費の額が世界一という日本の国会議員の厚遇ぶりは広く知られているが、地方議員も負けてはいない。都道府県議の平均年収は1200万円だが、東京都の場合、議会や委員会に出席すれば交通費、宿泊費代として日当1~1.2万円が支給される。このほか政策の調査・研究のために政務調査費も支給される。しかしそれだけではない。
驚くことに、地方議員には「天下り」も横行している。2006年、名古屋市議OBの6人が、「名古屋都市整備公社」「名古屋市教育スポーツ振興事業団」など市の外郭団体に天下っていたことが発覚した。週2日・午前のみの勤務で、月35万円前後の報酬を得ていた。また、同年には元愛知県議の4人が県の外郭団体に天下っていたことがわかっている。
愛知県人事課は、「批判を受けたので、今は県議OBの天下りはいない」というが、要は、市や県の役人が議会対策として議員に甘い汁を吸わせていたということだ。
何より地方議員が恵まれているのは、これだけの役得がありながら、議員の仕事がヒマ過ぎるので、兼業し放題ということだ。都道府県議のなかで議員以外の職を持っている議員は、全体の6割以上もいる。市議、村町議では兼業率はもっと高い。
企業経営者など自営業者が時間をやりくりして議員をするのはわからないでもないが、忙しい大企業のサラリーマンさえも兼業ができてしまう。
例えば、2007年の区議選で初当選した杉並区議の安斉昭氏は、現役の東京電力社員だ。1000万円を超える区議報酬に加え、公的資金が投入された東電から給料を受け取れるとは何ともオイシイではないか。
※週刊ポスト2012年2月24日号