現在、韓国社会で問題となっているのがこの「性暴力(レイプ)」である。2000年代に入り、10代の若者が巻き込まれる性犯罪が多発。こうした背景の中で学校での性教育の重要性が再認識され、2008年から小中学校で年間10時間以上の学習が必修となった。
「韓国の性教育では性暴力について力点が置かれています。街中での声かけやインターネットサイトの利用などによって性暴力に巻き込まれた事例を詳しく伝えるとともに、性暴力にあってしまった場合の対処法が詳しく教えられます。
例えば、被害にあった際に証拠品として、相手の髪の毛や体液をとっておくのが有効であることや、被害にあった場合にいくべき病院や警察の対処窓口などを、教科書の中で5ページにわたって詳しく解説しています。経済成長によって援助交際も増えており、性暴力は深刻な問題なのです」
と、日韓の性教育を研究する東京造形大学非常勤講師の朴恵貞氏は指摘する。
さらに性教育の成果について朴氏は語る。
「はっきりいって、現実的には性暴力の件数は横ばいか、増加しています。ですが、これは被害者がようやく声に出せるようになったのだと、私は解釈しています。熱心な性教育の成果だと思いますよ」
かつては韓国の性教育は日本よりも後進だった。しかし、
「今やその教育内容は、日本の10年以上先を進んでいる」
と、専門家たちは口を揃えている。
※週刊ポスト2012年2月24日号