1960年代に福祉国家への道を歩み始めたオランダでは、社会保障制度や保険医療体制の拡充に伴って人権と性に対する意識が急激に高まった。
お互いの同意があれば12歳以上で性行為が認められ、16歳以上でポルノ出演や性行為が適法とされている。性はすなわち人権問題であり性教育を行なうことも、権利を広く認めることの一環として国民の間では当然のように受け止められているという。
「子供の親世代も同じ教育を受けていますから、性に対する感覚も同じ。こちらでは長い休暇になると近隣の国へ旅行に出かけるのですが、その際には母親が娘にコンドームを渡すこともあります。それだけ当たり前のことなんですよね」(現地在住の教育評論家・リヒテルズ直子氏)
現地の健康サービスセンターでは、夏休みが近づいた6月の終業式になると、中学生を対象に一斉に“夏休み専用コンドーム”を配るという。
「英語の説明書のついたコンドームです。若者たちは夏休み旅行で、いろんなヨーロッパ人に出会い、当然、恋愛もたくさん生まれる。そこでセーフセックスのために、誰もが理解できるように英文付きのコンドームが手渡されるんです」(健康サービスセンターのスタッフ)
※週刊ポスト2012年2月24日号