にわかに日経平均株価が値を上げてきた。2月上旬には9000円台を回復し、投資家は色めき立っている。この上昇の背景にはアメリカ経済の回復があると未来予測の達人で「経済の千里眼」の異名をとる経済評論家の菅下清廣氏は指摘する。
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今年、米国経済が繁栄する根拠は、4月頃に予定されているフェイスブックの上場です。予想される時価総額は1000億ドル(約8兆円)、調達資金は50億ドル(4000億円)といわれ、ネット関連企業としては過去最大級の上場です。
この上場が株式市場に与える影響は大きい。1社で何兆円という資金の流入を招き、市場全体の価値を上げます。これだけインパクトのあるIPO(新規上場)があると、これを呼び水に「第2のITバブル」が生まれると予測できます。
1990年代末期の「ITバブル」は、PCや携帯電話など、ハードウェアの進歩によってもたらされました。コンピュータが個人の手の届かないものだった時代から、誰でもPCを所有するように変わったのが1990年代後半でした。その後も続いたITのハード面の技術革新は近年のiPhoneやiPadの登場で最終章を迎えたといえます。
一方で、フェイスブック上場が端緒になる「第2のITバブル」はソフトウェア、特にコミュニケーションの革命です。フェイスブックには全世界で8億5000万人が登録しています。そこで、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を利用した新しいコミュニティ、人間関係が生まれています。
ITを使いこなす人たちの新しいネットワークこそが「第2のITバブル」のスタート地点です。そのネットワークを利用した、まったく新しいビジネスが今後次々に生まれてくることでしょう。新ビジネスを展開する上場企業が現われたり、新たに新興企業が上場したりすることによって、株式市場にも「第2のITバブル」が起こるのです。
それはアメリカに限ったことではありません。中東や北アフリカ地域では、SNSが民主化革命のツールになりました。もちろん日本市場でも、フェイスブック・バブルに乗って値を上げる新興企業、IT関連銘柄が出てくるはずです。
※週刊ポスト2012年3月2日号