デフレ時代、資産価値の目減りが進むなか、「持ち家こそ最大のリスクだ」という意見は根強い。ところが、「それでも借りるより買った方がいい条件もある」とファイナンシャルプランナーの藤川太氏(家計の見直し相談センター)は強調する。
家賃の推移をみると、不動産価格に比べ、非常に安定した値動きとなっている。
「不動産価格が下落する時は通常は金利が低いので、なおさら実質家賃(購入から売却までにかかった累積コストを居住期間で割ったもの)は下がる。つまり、家賃は下がりにくいが、不動産価格は下がりやすいという特徴を逆手にとって、値引き交渉などによって購入価格を下げることができれば、買った方が得という状況をつくることができるのです」
そのように、実質家賃から見た、得する不動産価格の目安は「新築で5%、中古で6%」という利回り(家賃収入)が得られるかどうかだ、と藤川氏はいう。
そのやり方はこうだ。
たとえば購入を検討中、もしくは居住中の住宅を他人に貸すならいくらの家賃収入がありそうか、相場を調べる。仮に10万円だとすれば1年間で120万円。これを新築なら5%(0.05)で割ると2400万円、中古なら6%(0.06)で割って2000万円となる。
「この程度の水準で買えれば、貸しても売ってもよい割安な物件といえます」(藤川氏)
もちろん、将来の住宅市場まで考えれば、「駅近」や「利便性が高い」といった条件を満たす物件ほど高く売れるし、高く貸せることも期待できる。これらの条件を満たすような物件なら買っても損はないといえそうだ。
※週刊ポスト2012年3月2日号