国際情報

サムスンやLGが日本に圧勝 デジタルは後発でも安い方が強い

 日米の株価が大きく乖離している。昨年1年間で日経平均は17.3%下落し、NYダウは5.5%上昇した。アメリカ企業の多くが業績を伸ばし、日本企業が総じて低迷したからである。では、日本企業はどこで道を間違えたのか。大前研一氏が解説する。

 * * *
 日本企業が低迷している本質的な理由は、マーケットの大きなトレンドや世界の動きを踏み外すようになったことである。

 たとえば、日本企業はデジタル化とはどういうことかがわかっていない。アナログは創意工夫で差別化できたが、デジタルは部品が同じであれば性能は同じなので差別化が難しい。

 また、アナログは累積生産台数が倍になるごとに習熟曲線が効いてコストが10~15%下がるから、先行者が強かった。しかし、デジタルは回路をプリントするだけなので、習熟曲線が関係なく、後発でも安いほうが強い。この基本的な違いを日本企業は正しく理解していないのだ。

 その象徴がテレビである。日本の電機メーカーは、国内で「家電エコポイント」やテレビ放送の地上デジタル化による特需があったにもかかわらずテレビ事業は赤字続きで、2012年3月期の業績見通しは大きく落ち込んでいる。

 原因は円高やタイの洪水被害よりも、前述したマーケットのトレンドや世界の動きの踏み外しにある。つまり、日本の電機メーカーは薄型テレビの画面を大型化する方向に舵を切り、大型液晶パネルの製造工場に投資した。

 ところが、今や液晶パネルの主戦場は、iPhoneなどのスマートフォン用やiPadなどのタブレットPC用の小型サイズに移っている。その分野は韓国のサムスンやLGが圧勝しているのだ。

※週刊ポスト2012年3月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン