2007年末フジテレビを退社、2010年に新司法試験に合格し、1年の司法修習を経て、2011年12月に弁護士になった菊間千乃さん(39)。
華やかなアナウンサーをやめて、法律家になるまでに何を考え、何につまずき、どう乗り越えたのかを綴った著書『私が弁護士になるまで』(文藝春秋)を上梓した。
そんな菊間さんだが、なぜアナウンサーだけでは満足せず、弁護士になったのだろうか?
「アナウンサー時代は、力を持て余していたんですね。アナウンサーって忙しいように思われていますが、番組に出る以外はそれほどでもない。朝の番組を担当していると、午後は時間が空いてしまい、何をしようかなと考えることも多かったんです」(菊間さん)
年齢を重ねるにつれて確実に画面に出る機会が減る。将来を考えたとき、このままでいいのだろうか、という思いもよぎった。
「アナウンサーは司会者として、コメンテーターの意見を引き出すだけで、自分の意見をいうことはありませんでした。でも、自分の意見も主張したい。それには専門的な知識も身につけたい。自分が備える武器として、法律を選択できないだろうかと考えました」(菊間さん)
2005年春、弁護士や検事、裁判官といった法律の専門家になるための学校、法科大学院(ロースクール)へ入学。朝7時フジテレビに出社し、15時すぎに退社すると、一目散にさいたま市内の学校を目指した。
「深夜に帰宅し、復習したり、翌日の仕事の準備をしたりすると、睡眠時間は3時間くらいしかとれません。電車の乗り換え時間も惜しくて、通学は自家用車にしたんですが、路肩や首都高速の料金所横に車を止めてよく仮眠してました(笑い)。でも、勉強は楽しかった」(菊間さん)
それほど充実した日々を送っていた矢先の2005年夏、未成年タレントとの飲酒問題で全番組を降板、謹慎することになる。バッシングを受けて落ち込む菊間さんを、励ましたのは学校の仲間だった。仲間のマンションに2か月、居候させてもらった。
「部屋の窓から青空を見ていると、涙が出てきました。でも、ずっと家にとじこもっている私を仲間が支えてくれた。感謝してもしきれません」(菊間さん)
※女性セブン2012年3月8日号