ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子など、様々な分野の論客が、毎号書き下ろしの時事批評を寄稿する『メルマガNEWSポストセブン』。本サイトでは、2月24日に配信された4号に掲載されている「ビートたけしの今週のオピニオン」を特別に全文公開。2回目の今回は、たけしが最近の“大学”についてひと言物申す。
* * *
最近じゃ「お笑い芸人養成学校」なんてのがたくさんできてるけど、その学校を卒業したからって、人気お笑い芸人になれるかどうかはわからない。実力や才能もさることながら、いかに時代の流れに乗れる運を持っているかってことが、イチバン大事なんだよ。
これは何も、お笑い芸人の世界に限ったことじゃなくてさ。一般社会においてもいえることでね。
大学受験の世界じゃ、東大が9月入学に移行しようとしてるってんで話題だよな。ニッポンでナンバーワンの大学がこういうことを検討するのはトーゼンだと思うし、ドンドン議論すればいいことなんだけど、ニッポン人がもっと考えなきゃいけないのは、こういうレベルの高い人たちの話じゃなくて、「そもそも大学に行く必要のあるヤツラがどれだけいるのか」ってことなんじゃないか。
最近は大卒学生の就職率が過去最低だなんてニュースをよく見るけど、よくよく考えりゃ「猫も杓子も大学に行くようになったから、結果的に就職できないヤツが増えてるだけ」だろうよ。景気のいい時代に、名前も聞いたことのないようなバカ大学がポコポコできて、カネさえ出せば誰でも大学に入れるようになっちまったから、それで就職率が落ちてるって単純な構図なんじゃないかって思うんでさ。
大学になんか入らなくたって、「一流」と呼ばれる仕事人はたくさんいる。大工になったっていいし、コックや寿司職人になったっていい。若いヤツラは「就職できない」って文句たれるけど、そういう職人たちの募集には、なかなか人が集まらないっていうぜ。今の大学は、そういう厳しい現実から目を背けて、ちょっとボーッとしてようっていう休憩所みたいな存在になっちまってるんだよな。
こうなったのには、大人の責任も大きいと思う。結局「子供に楽をさせてやりたい」って気持ちが、この「大学全入社会」につながっちまってるワケだからね。
だけど、大学を卒業する頃になれば、仕事を見つけて社会に出なきゃいけなくなるワケでね。イヤでも社会の厳しさを知ることになる。そこから先は、もう親には手助けしてもらえないぜ。20代になってはじめてハシゴを外されちゃうから、社会に背を向けて閉じこもったり、自分の置かれてる環境に責任転嫁したりする甘チャンが増えてしまうんだよな。
(続く。次回は3月1日木曜日午前7時に公開予定)
※上記の記事全文は現在配信中の『メルマガNEWSポストセブン』4号で読めます。