昨今、職場の問題としてクローズアップされているのが「パワハラ」や「セクハラ」の問題だが、部下の女性からセクハラを訴えられ、会社を辞めざるを得なくなったのは、ある大手企業のA部長(54)である。
ある日、女性社員から仕事のことについて相談を受けたA部長は何気なく「ま、気にするなよ」といいながら、女性の肩をポンと叩いて励ました。
女性が「セクハラを受けた」と会社に相談したのは、その翌日のことである。A部長の部下のひとりがいう。
「A部長は昔気質の人で、コミュニケーションをとるつもりで肩を叩いたり、お腹をつついたりするが、それを嫌がっている女性社員もいた。特にその女性社員は普段から周囲に『身体を触られる』と相談を持ちかけていた。上司もそういう人だったからね。セクハラ騒ぎが起きたときは、部内は『ありえるかもね……』という雰囲気になってしまっていた。上司は自主退職しましたよ」
肩を軽く叩いただけだといっても、女性社員に「触られた」と騒がれ、社内のセクハラ委員会に駆け込まれたら最後、どうしようもない。A部長のセクハラに対する認識が甘かったケースともいえるが、なんとも物騒な時代になったものだ。
※週刊ポスト2012年3月9日号