日本屈指の巨大企業・東京電力。超安定と言われた企業にいた社員たちの生活は、あの日を境に一変した。本店の管理部門に在籍する中堅社員にこのところの社内事情について話を聞いた。
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ここ数か月で世間をお騒がせしているのは、電気代の値上げでしょう。営業部門が値上げのご説明とお詫びのために顧客を回っていますが、我々本店では、値上げの前提となる、各部門の予算カットと資産売却に追われています。
意外と知られていないところでは、株式の売却が大変ですね。上場株なら市場で売れますが、未上場だと難しい。まず、株を持っている会社を訪問し、「株を手放したいので、大株主を教えてください」ということから始めるわけです。それでも、このご時世だから、我が社から株を買ってくれる会社というのはなかなか見つかりません……。
今は、社員のモチベーションの低下を心配しています。一般社員は、給与5%、ボーナス50%削減で、年収ベースで約2割カット。
これは若手女性社員のケースですが、メガネを買う時に身分証明書などをカウンターに出していたら、後ろにいた人に「あんた、東京電力か!」と言われて叩かれたそうです。こうした状況が続いてモチベーションが下がり、組織としての力がダウンしてしまうことが気がかりです。
※SAPIO2012年3月14日号